一心不乱に在庫チェック
こんにちは、ダイノです。
前回の続きを少し。
前回は、本を買う人はブランド(出版社)なんていちいち気にしてないという話しをしました。
さて、ブランドと言えば、付録付きブランドMOOKのTVCMでお馴染みの宝島社があります。
私が書店のバイヤーをしていた頃は、このブランドMOOKがいくら仕入れても足りないくらい売れました。
私はブランドものに疎いので、ここだけの話、いかほどの人気があるのか妻に尋ねて仕入れ数を決めてました。
宝島社は今もTVCMが頻繁に流れているので知ってる方は多いでしょうね。
また、TVCMといえば毎号揃えると完成する分冊百科を出版しているディアゴスティーニやアシェット・コレクションズ・ジャパンもよく目にします。
聞くところによれば、定期購読を申し込んだものの最終号まで購入できず挫折する人が多いんだそうです。
特に組み立て系は、発売後すぐに書店に買いに行かないとあっという間にたまってしまい、書店に取りに行くのが億劫になってしまいます。
さらに創刊号の安さに惹かれて買い始めても2号目以降は案外単価も高いので、数千円から1万円をまとめて払うことになり金銭的にもだんだん辛くなる…
続かない気持ち分かりますよね。
それでも魅力的な商品が創刊されると、ついつい買ってしまうんでしょうね。
このように普段からTVCMで目にしていると刷り込み効果もあり「CMでやってたから」と安心して買うことができます。
それならばどの出版社もCMを流せば知名度が上がるのではないでしょうか?
しかしながら、どこの出版社でもTVCMを流せる訳ではありません。それができるのはほんの一部の会社だけです。
コストがかかりますからね。
でもTVCMは流せなくても自社の本を宣伝して歩く人たちがいます。
それが書店営業さんです。
書店営業
聞いたことはありますか?
出版社の人=編集者と思われがちですが、営業さんももちろんいます。
ただ発売するだけでは本は売れません。
発売前から話題になるくらいの注目の作家さんの本なら別ですが、それはかなり限られています。
大抵の本は、書店員さんの地道な努力によって売れることの方が多いのです。
「え?営業さんの努力じゃなくて?」という声が聞こえそうですね。
営業さんが仕掛けることももちろんありますが、書店員さんが「この本売りたい」と思ってくれないとなかなか売れないのです。
書店員様様です。
じゃあ営業さんはどんなことをしているのか?
これは大手出版社なのか、中小の出版社なのかによっても異なります。
大手出版社の営業さんは、だいたいチェーン本部のバイヤーさんとの商談がメインで、本屋さんを回るとしても都内の大きな本屋さんが中心です。
一方、中小の出版社の営業さんのメインはチェーン店の支店や街の本屋さんです。
意外かもしれませんが、大手出版社にはチェーン店の支店や街の本屋さんを細かく回れるような営業さんはほとんどいないのです。
実際バイヤーと商談して本を店舗に送り込むので細かく店舗を回る必要がないのです。
もし回るとしてもそれは商談のためというよりも展開状況の確認のためです。
しかし、中小の出版社(うちの会社は中小です)は大手出版社みたいにバイヤーから簡単に注文をいただけないこともありますので、個々の店舗の担当者に直接交渉しに行かないといけません。
本屋さんの棚の前で、一心不乱に在庫を調べているスーツ姿の人を1度は見たことがあるのではないでしょうか。
その姿を見たら我々書店営業だと思ってください。
書店営業の仕事は、まずは本屋さんに「うちのこの本はいい本ですよ」と売り込むこと。
そして気に入ってもらって店頭に置いてもらうことです。
仕入れてもらう。
これが第一段階です。
次回はその辺りのことを。